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『ヒューナー検査と精液検査は、夫との十分な話し合いで』
【ヒューナー検査】
ヒューナー検査は、性交後2~3時間以内に調べなければならないため夫の協力は欠かせない。
典子さんは覚悟して相談した。
「結果は予想どおりでした。『まだ結婚して3年、しかもふたりとも28歳という若さなのに、
なぜ今から不妊治療をする必要があるのか。きみが自分の体を心配して検査をするのは、
仕方ないと思うが、俺は自分の体を心配していない』と言われました。
それなら、せめてヒューナー検査だけでもしたい。これは、私の体が精子を受け入れる体かどうかを
知りたいからだと説明して、やっと了解してくれたのでした。」
ヒューナー検査の結果は異常なし。これで典子さんの一般的な不妊検査は終わった。
不妊の原因が特定できるとすれば精液検査。もしくは原因のわからない
機能性不妊(きのうせいふにん)⇒不妊症のうち約2~3割は、どんな検査をしても
原因がつかめない場合がある。これを原因不明の機能性不妊という。
原因不明といわれる場合
①既往歴、内診に異常がない。
②性交回数が正常。
③精液検査が正常。
④毎月月経があり、基礎体温が二相性で高温期が12日以上ある。
⑤子宮頸管粘膜の分泌が良好で、ヒューナー検査も正常。
⑥内分泌(ホルモン)検査の値が正常。
⑦子宮卵管造影法による検査が正常。
このほか、
⑧超音波で、子宮や卵巣に異常がなく、排卵が確認できる。
⑨子宮鏡検査が正常。
⑩腹腔鏡検査が正常。
などを含める場合もあります。
ということになる。
【精液検査】
不妊原因の3分の1近くは、男性不妊といわれている。
不妊原因を調べるには欠かせない検査で、自宅で採取した精液を妻に病院へもって行ってもらうことでも可能。
精液一般検査では次の8つのチェック項目がある。
①精液量。
②酸性度(pH)。
③総精液濃度。
④運動精子濃度。
⑤運動率。
⑥形態異常率。
⑦白血球数。
⑧精子の直進運動性。
さらに、より正確に判断するために精子機能精密検査もある。
これらの検査から、
無精子症(むせいししょう)⇒精液中に精子が見られない場合。
乏精子症(ぼうせいししょう)・精子減少症(せいしげんしょうしょう)
⇒精液中に基準濃度以下の精子しかいない場合。おおよその目安として1ml中6000万個以上精子が
いれば正常と考えられ、3000万~6000万個の場合はタイミング療法、1000万~3000万個の場合は人工受精、
500万~1000万個の場合は体外受精、500万個未満の場合は顕微受精(けんびじゅせい)が、
治療の目安となります。
精子無力症(せいしむりょくしょう)⇒精子の運動率が極端に悪い場合。
奇形精子症(きけいせいししょう)⇒奇形精子の頻度が高い場合で奇形精子は
受精能力が低いため、形態異常率が高いと不妊の原因となる。
膿精液症(のうせいえきしょう)⇒精子の頭部には、受精のときに卵子の透明帯を
溶かすための酵素の膜があり、この膜がうまく働かないと、受精は成立しない。これを膜機能という。
精液中の白血球が精子を貪喰(どんしょく)するときに、この酵素が散らばって、ほかの精子の膜機能まで傷めてしまう。
このように、次々とほかの精子に悪影響を与えていくのが膿精液症という病気。
基本的には原因不明だが、前立腺や精嚢に炎症のある場合にも起こる。
精液1ml中に100万個以上の白血球がある場合に、膿精液症と診断される。
などの男性不妊の原因を見極めることができる。
【診断】
「夫が検査を受け入れてくれたのは、30歳の誕生日を迎えたあとでした。
どうしても子供が欲しいからと泣いて頼むと、うなずいてくれました。」
結果は、1ml中の精子が少なめで乏精子症といえなくもないが、3000万個以上あるため、
排卵のタイミングを見てチャンスをもつタイミング療法で妊娠可能な数字だった。
漢方薬「八味地黄丸(はちみじおうがん)」⇒男性不妊治療に用いる漢方薬で、
乏精子症には八味地黄丸が処方されることが多い。
を飲むよう医師にすすめられた。半年後、典子さんは無事妊娠できた。
精液検査をしり込みする男性は少なくない。
理由は「もし異常があったら」「何か自分の大事なものが踏みにじられる」「忙しくて体調が優れず時間がない」など。
不妊治療は夫婦ふたりで進めるもの、不妊検査に通う前に、夫と治療についてよく話し合うことが大切と知ったという。