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『夫からうつった性感染症が不妊の原因とわかって』
【原因】
「先生から
クラミジア感染症⇒クラミジアは細菌とウイルスの中間に位置する微生物。
卵管の癒着を起こすなど、不妊症に大きな影響がある。
沙紀さんの場合、抗原検査は陰性だったが抗体検査が陽性だった。
と言われ、最初は何のことかわかりませんでした。でも説明が進むにつれ、セックスによって感染する
性感染症ということが飲み込めてきました。腹痛の原因はクラミジアの病原体が膣、子宮頸管を通り
子宮から卵管へ侵入したためだったのです。」
沙紀さんの場合、超音波で見る限り、炎症を起こしていたのは右卵管だけ。
抗原検査で子宮頸管から採取した粘膜からは、病原体は発見されていない。
子宮頸管の炎症が治っていたのは、以前の産婦人科で処方された抗生剤が効いていたのでは
ないかという医師の説明だった。
今回、クラミジアの反応が出たのは血液からで、クラミジアの病原体が体内に潜んでいることを示す
結果だった。病原体がいるのは卵管だけと特定できない。しかし、クラミジアに感染している間は、
むやみに卵管検査を行えない。検査によって、病原体が卵管から骨盤内に広がっていく可能性があるからだ。
治療薬として1日2回分の内服薬を処方された。
これを2週間程度飲めば、体内のクラミジアの病原体は消えるという。
加えて体内の血液循環をよくする
漢方薬⇒当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など
も処方された。
「卵管の炎症が不妊の原因でした。排卵のとき下腹部が痛んだのは、卵巣から出た卵子が卵管を
通るときに、炎症のある卵管を刺激するからだということでした。ショックだったのは原因が性感染症
だということです。夫からうつされたとしか考えられません。では、夫は誰にうつされたのか???」
その晩、沙紀さんは帰宅した夫にクリニックでの結果を話した。
夫は沙紀さんの言葉に動揺した。
「夫は結婚後の一度だけの浮気を告白しました。
夫の口から、直接そんな言葉を聞くとやはり失望しました。
夫は誠実で真面目な性格です。でも、なぜ嘘をつき通してくれなかったのかと恨みました。」
夫はもう一度やり直そうと、沙紀さんを説得し続けたという。
『卵胞刺激ホルモン剤でタイミング療法を』
【不妊治療へ】
「1ヶ月後、体内の病原体は消えました。先生はこれまで『ふたりで治さないとまたうつるわよ』と
心配してくださいました。このときも同じことを言われ、夫とのことをお話してみたんです。」
医師は、「誠実なご主人ですね。男性の場合、ほとんど症状がないので、いつ感染したかわからない
ことが多いんです。あなたと出会う以前という可能性だってありえますよ。男性は感染していても、
尿検査⇒男性の場合、クラミジアの検査は尿検査で行われることが多い。
で陰性の結果が出ることがあるんです。自分のせいじゃないと、逆に妻を責める男性だっている
くらいですから。」と話した。
帰り道、沙紀さんは夫の人のよさに思わず顔がほころんだ。
夫とやり直そうと決心したのは医師との話がきっかけだった。
「夫に検査を頼むと、すぐ泌尿器科に行ってくれました。
クリニックの先生の言葉どおり、尿検査では陰性。
でも、夫は非常に痛いという尿道の分泌物を採取する検査を自ら進んでしてくれました。
結果は陽性。クラミジアに感染していることがわかり、治療を開始しました。」
2週間後、夫のクラミジア感染症は完全に治った。
沙紀さんも卵管の癒着がほとんどなく、卵管通水検査で卵管の通過障害のないことが確認できた。
これで不妊症の原因と思われるものはなくなった。
沙紀さんは、すぐに注射による
卵胞刺激ホルモン剤⇒卵胞刺激ホルモン(FSH)で卵巣を刺激し、
卵胞を十分発育させるための排卵誘発剤。
で、排卵を誘発し、排卵のタイミングを見てチャンスをもつ
タイミング療法⇒卵胞刺激ホルモンで十分卵胞が発育したら、
HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という筋肉注射で排卵を促し、排卵のタイミングを見てチャンスをもつ方法。
を開始した。
「もう一度、子供をつくる決心をしました。苦しんだけど、やはりこの人と家族を築きたいと思えたんです。」
沙紀さんが妊娠したのは、タイミング療法を始めて5ヶ月後だった。